封筒Labo.
箔押しペンを試してみました!〜余った箔に新しい命を吹き込む〜

こんにちは、封筒屋どっとこむです。
これまで本ブログでは、ツジカワ株式会社様へのインタビューを通じて「マジックエンボス」や「彩光腐食」といった、世界最高峰の箔押し技術についてご紹介してきました。プロの超絶技巧に触れるたび、私たちの箔押しに対する愛と興味は深まるばかり……。
「この美しい箔の輝きを、もっと身近に、自分の手で自由に操ることはできないだろうか?」
そんな好奇心から、今回は少し趣向を変えて、アナログとデジタルを掛け合わせた「ある実験」を行いました。主役は、誰でも手軽に箔押しが楽しめる「箔押しペン(ヒートペン)」です!
試そうと思った経緯:工場の「もったいない」を「ときめき」に

私たちの印刷工場では、日々たくさんのオーダーメイド封筒を製造しています。その過程でどうしても出てしまうのが、「箔のフィルムの端材」です。
プロ仕様の箔フィルムは、たとえ数センチの余りであっても、その輝きは本物。しかし、機械にかけるにはサイズが足りず、これまでは廃棄せざるを得ませんでした。
「このキラキラした廃材を、何かに活用できないか?」
「お客様へのちょっとしたメッセージや、試作の封筒に手書きで箔を乗せられたら素敵じゃないか?」
そんな想いが、今回の「箔押しペン」挑戦のきっかけでした。工場の隅で眠っていた廃材が、自分の手で新しい価値に変わる。そんなワクワクするアップサイクルの実験の始まりです。
箔押しペン(ヒートペン)とは?

今回使用したのは、AmazonなどのECサイトで手軽に購入できる「箔押しペン(USBヒートペン)」です。
仕組みはとてもシンプル。ペンの先端が熱を持ち、その熱によって箔フィルムの接着層を溶かし、紙に定着させるというものです。いわば「手書き版の箔押し機」ですね。
最近ではペン先の太さも数種類セットになっているものが多く、数千円から手に入るため、ハンドメイド作家さんの間でも注目を集めているアイテムです。USB給電で動くので、パソコンやモバイルバッテリーがあればどこでも作業ができる手軽さも魅力です。
【動画】実際に箔押しペンを使っている様子
言葉で説明するよりも、まずはその「魔法」の瞬間をご覧ください!
動画(画像をクリックしてください)
【スタッフの心の声】
「おおお…!剥がす瞬間のこの快感、プロの現場で見るのとはまた違った感動があります!」
実際に箔押しペンで制作してみた!徹底レポート
それでは、今回の実験の工程を詳しく解説していきます。今回は「アナログな手書き」に「最新のAI」を組み合わせてみました。
① 図案をAIで制作

まずはデザインです。今回は今どきらしく、画像生成AIを使って図案を作成しました。選んだテーマは「神秘的な植物の文様」。手書きの温かみが出るように、あえて少し複雑で繊細なラインを持つデザインをチョイスしました。
② 濃い色の封筒を用意

箔押しが最も映えるのは、なんといっても「濃い色の紙」です。今回は自社で用意した、深いネイビーの封筒をセレクトしました。箔のゴールドやシルバーとのコントラストがはっきりし、高級感がグッと引き立ちます。
③ 廃材の箔フィルムをセット

ここで工場の「廃材」が登場!封筒の上に、余っていたゴールドの箔フィルムを動かないようにマスキングテープで固定します。
④ 図案をなぞる(ここが一番の難所!)

フィルムの上に、AIで出力した図案を重ねます。そして、熱を持った箔押しペンで上から慎重になぞっていきます。
ここでの苦労話:
「今回は繊細な文様を選びすぎたかもしれません……(苦笑)。なぞった線が分からず、筆記圧のあとか、記憶との勝負です。(苦笑)一定の筆圧と温度を保ちながら、1mmの線をなぞる作業は、まさに全集中!」
⑤ 運命の瞬間……「剥がし」!

なぞり終えたら、図案の紙をどかし、いよいよ箔フィルムをゆっくりと剥がしていきます。この瞬間が一番緊張します。
「……ペリペリペリ……」
「できた!!!」
そこには、AIが描いた繊細な文様が、工場の廃材だったはずのシルバーに輝き、封筒の上にしっかりと刻まれていました。手書きならではのわずかな揺らぎが、機械押しにはない「一点もの」の風合いを醸し出しています。

箔押しペンの可能性を広げる、新しい活用の提案

実際に使ってみて感じたのは、この「箔押しペン」は単なる趣味の道具にとどまらない、大きなポテンシャルを秘めているということです。
- 小売店様やセレクトショップでの活用:店頭で商品を購入されたお客様へのショップカードやギフトタグに。その場で「Thank you」と手書きで箔押しして添えるだけで、特別な体験に変わります。
- ハンドメイド作家様の商品ブランディング:手作りのアクセサリーや雑貨に添える台紙やタグに。印刷所に頼むほどではないけれど、1枚ずつ心を込めて箔を乗せることで、商品のプレミアム感を演出できます。
封筒屋どっとこむとしての提案
私たちも、この「手書き箔」の技術を何かに活かせないかと考えています。例えば、お客様がデザインした図案を元に、私たちがプロの技術で封筒を作り、最後の仕上げ(お名前入れなど)をお客様ご自身が箔押しペンで行う……そんな「共創する封筒作り」も面白いかもしれません。
また、この素晴らしい「箔押し」という技術を個人でも楽しんでいただけるように、弊社の箔押し加工の半端になった箔押しフィルムを再利用できないか企画しております。
終わりに
プロの現場で使われる「版」を使った箔押しは、その緻密さと再現性、そして圧倒的な生産性が魅力です。一方で、今回体験した「箔押しペン」は、「不完全さの美しさ」と「作る楽しさ」を教えてくれました。
工場の隅に捨てられるはずだった端材が、ペンの熱を通して、誰かを笑顔にする輝きに変わる。ものづくりの原点は、こうした小さな「ときめき」にあるのだと再確認した一日でした。
「自分の封筒にも、手書きで箔を添えてみたい!」
「工場の廃材を活用したアイディアを一緒に考えたい!」
そんなご相談も、封筒屋どっとこむは大歓迎です。これからも私たちは、伝統的な技術と新しい遊び心を掛け合わせながら、封筒の可能性を広げていきます。
