封筒Labo.
【取材レポート】「箔押し×印刷」のテクニカル加工

こんにちは、封筒屋どっとこむです。
私たちは日々、お客様のブランドを表現するための「特別な封筒」をご提案しています。
「特別な封筒」を制作するのに代表的なのが「箔押し加工」ですが、
「箔押し加工」をさらにテクニカルに印刷技術と組み合わせてさらに特別感を演出する技法をご紹介いたします。
「印刷の上に箔を乗せるのと、箔の上に印刷するのはどちらが良いの?」
「最近よく聞く『顔料箔』って、普通の箔と何が違うの?」
こうした疑問を解決すべく、今回も箔押しの「版」の世界的エキスパートである、ツジカワ株式会社様にお話を伺ってきました。デザインと技術の境界線に迫る、ディープなインタビューの模様をお届けします。
1. 印刷と箔押し、どちらが先か?〜「見当合わせ」の極意〜
まず伺ったのは、印刷と箔押しの「順番」による表現の違いです。
●印刷 → 箔押し(先刷り)
全体写真
先に印刷してから箔押しまず伺ったのは、印刷と箔押しの「順番」による表現の違いです。

印刷と箔押しの組み合わせは、最も一般的な手法ですが、ツジカワ様によると、ここには高度な「見当(位置)合わせ」の技術が要求されると言います。
ツジカワ様:「印刷された絵柄を避けて、あるいはピッタリ重ねて箔押しをする場合、紙の伸縮や印刷のズレを計算に入れる必要があります。弊社の版作りでは、こうした現場の『ズレ』をあらかじめ想定し、デザインが最も美しく見えるためのクリアランス(隙間)についてもアドバイスさせていただいています。」
●箔押し → 印刷(後刷り)
全体写真
箔押ししてから印刷最近、クリエイターの間で注目されているのが、先に箔を押し、その上から印刷を施す手法です。

ツジカワ様:「特に注目すべきは、『箔の上からインクジェットやシルクスクリーンで印刷する』という手法です。メタリックな輝きを持つ箔の上に透過性のあるインクを乗せることで、金属的な質感を持ったフルカラー表現が可能になります。これは、従来の印刷だけでは不可能な、非常にリッチな視覚効果を生み出します。」
ただし、箔の上はインクが乗りづらいため、箔の種類とインクの相性を慎重に選ぶ必要があるとのこと。ここでもツジカワ様の豊富なデータが活きています。
●顔料箔×エンボスの相乗効果
ツジカワ様が得意とする精密な彫刻版で顔料箔を押すと、まるで紙がその色で「彫り込まれた」ような、重厚で知的な仕上がりになります。光沢がないからこそ、エッジの立ち方や影の出方が強調され、高級ホテルの備品やブランドロゴなどに非常に好まれるそうです。
2. 技術の裏側:高解像度データと「0.15mm」の約束

箔押しと印刷を組み合わせる際、データの精度はさらに重要になります。
ツジカワ様:「箔押しと印刷を組み合わせるデザインでは、境界線の処理が命です。低解像度のデータ(300dpi以下)では版にジャギーが出てしまい、印刷との境目が汚くなってしまいます。私たちは1200〜2400dpiの高解像度データを推奨しています。」
●箔が「飛ぶ」のを防ぐために
また、細かい線や文字を箔押しする際の「線のピッチ」についても具体的な数字を教えていただきました。
- 最小ピッチ:0.15mm
- 理由: これより細い線や狭い間隔だと、箔の接着層が足りずに転写されなかったり(箔飛び)、逆に隣同士がくっついてしまったり(埋まり)します。
「特に、印刷された絵柄の上に箔を乗せる場合は、インクの油分などで箔が乗りづらくなることもあります。その場合はデータをわずかに太らせるなど、版の側で微調整を行うのがプロの仕事です」というツジカワ様の言葉に、職人魂を感じました。
3. 版の材質が仕上がりを左右する

印刷との掛け合わせにおいて、版の材質選びも重要な戦略です。
- ▶︎ マグネシウム版: 腐食で作るため安価。非常に細かい線や、小ロットの封筒制作に向いています。ただし柔らかいため、ゴミを噛むとへこんでしまうリスクがあります。
- ▶︎ 銅版: 硬くて耐久性が高く、リピートのあるロゴマークや大ロット案件に最適です。熱伝導率も安定しているため、印刷面への箔押しの安定感も増します。
4. 封筒屋どっとこむが提案する、新しい「箔×印刷」の形
ツジカワ様の深い知見を伺い、私たち「封筒屋どっとこむ」は、封筒制作における新しい可能性を確信しました。
- ▶︎ 「箔押し×インクジェット」の可変印刷:
共通のベースデザインを豪華な金箔で押し、その上からインクジェットで宛名を印刷する。 - ▶︎ 「顔料箔×オフセット印刷」の質感対比:
ツヤのあるコート紙に全面印刷を施し、その上にマットな顔料箔でロゴをあしらう。 - ▶︎ 「マジックエンボス×透過印刷」:
立体感を出した箔の上に、淡い色のインクを乗せることで多層的な輝きを生み出す。
5. デザイナーさんに知ってほしい!箔押し普及への想い

インタビューの終盤、「デザイナーの皆様に、もっとこの面白さを知ってほしい」と熱く語られました。
ツジカワ様:「現状、箔押しと印刷を複雑に組み合わせる手法は、デザイナー様の選択肢にあまり入っていません。やり方を知らなければ、想像することもできませんから。だからこそ、今私たちはマジックエンボスや顔料箔の魅力を詰め込んだサンプル帳を一生懸命作っています。」
終わりに:共創が拓く、封筒の未来
箔押しは、単なる「キラキラさせる加工」ではありません。印刷と組み合わせ、光を操り、質感をデザインすることで、一通の封筒は「ブランドの分身」へと昇華します。
「この印刷の上に箔を乗せたらどうなる?」「顔料箔を使ってみたいけれど、データはどう作ればいい?」そんな疑問が湧いたら、ぜひ封筒屋どっとこむへご相談ください。ツジカワ様と共に、皆様のイマジネーションを最高の形で具現化します。
ツジカワ株式会社様、今回も、目から鱗が落ちるような深い知識を共有していただき、本当にありがとうございました!
【今回お話をお聞かせいただいた箔の製版企業様】
ツジカワ株式会社 https://www.tsujikawa.co.jp/
※「マジックエンボス」はツジカワ株式会社様の商標・技術です。
